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ブランディング
体験設計
次も見たい、と思ってもらえる状態を作り続ける|SNSの本質は、ブランドの本質と同じ
たかちほ正史発酵蔵
2026/4/28
前編(05-1)では、SNSをただの宣伝の場ではなく、メディアとして機能させるための設計を書きました。
中心に置いたのは、「混ぜない、粒の旨み」という体験そのものをコンテンツの核にする、ということです。
役立つレシピも、作り手の言葉も、見たことのない組み合わせも、写真の感じも——全部この1点から生まれていました。
だから、メディアの魅力に振り切っても、ブランドから離れない。そういう構造です。
でも、メディアは一回見せたら終わるものなのか。
そこから先に、もう一つの問いが残っていました。
1番大切なのは、次も見たいと思ってもらえる状態を作り続けること
たかちほ正史発酵蔵の立ち上げを進めながら、ずっと意識していたことがあります。
フォロワーさんが、次の投稿を楽しみにしてくれている状態を、絶やさないこと。
これが、SNSをメディアとして機能させたときに、いちばん大切なことだと思っていました。
「面白い投稿だった」だけでは、その瞬間に消費されて終わります。
「ここに来ると、また知らない納豆の景色が見られる」「この人が次に何を出すか、見ておきたい」——そう思ってもらえる空気が続いて、はじめてメディアになる。
そしてこれは、SNSだけの話ではないと思っています。
お客さんが、そのブランドの発信を楽しみにしてくれている。次の商品を、次の投稿を、次の言葉を待ってくれている——その期待の連続こそが、ブランドそのものなんじゃないか。
最近は、そう強く思うようになりました。
SNSの本質は、ブランドの本質と同じ場所にあった、ということです。
揺らがない軸はある
期待を裏切らないために、まず揺らがない軸を決めました。

[図:揺らがない3つの軸(食べ方/粒の甘みと旨み/日常の温度)]
前編で書いた「混ぜない、粒の旨み」という体験の核——食べ方そのもの、粒の甘みと旨み、日常の温度。
この3つを、どの投稿でも必ず指す。逆に、ここから外れそうな切り口は、そもそも出さない。
軸があるから、何を出すか・何を出さないかの判断が、毎回ぶれずに済みます。
ただ、軸があるだけでは「次が楽しみ」にはならない
軸を守るだけだと、たぶん、まだ足りない。
一貫性は保てる。「またこの人たちか」と気づいてもらうところまでは届く。でも、それと「次が楽しみ」のあいだには、もう一段の距離がある気がしていました。
同じ角度の景色を繰り返しているうちに、フォロワーさんの期待は、静かに、でも確実に冷めていく。
「次も見たい」と思ってもらえる状態は、軸を守った"そのうえで"、毎回新しい発見を乗せ続けることでしか作れない——そう考えていました。
ここで意識していたことが、2つあります。
よくあるレシピは、出さない
「ここに来れば、また知らない納豆の景色が見られる」と思ってフォローしてくれている人にとって、見覚えのあるレシピや、SNSでよく見る組み合わせが流れてきた瞬間に、期待感は崩れてしまう。
だから、企画の段階で「これは見たことがあるな」と感じる切り口は、そもそも出さないようにしました。
実際に投稿してきたのは、こういう組み合わせです。
菜の花としらすの納豆ごはん、黒豆納豆とアボカド、焼き納豆丼、黒豆納豆とドライトマトのオイル和え、あさりバターの納豆ごはん、ミートソース納豆ごはん——

一見、家庭で作れそうな顔をしていながら、混ぜずに「のせる・噛む」を前提にした瞬間に、これまでの納豆では成立しなかった食べ方になる。
「ありそうで、よく見ると見たことがない」。そこを、毎回の企画で探していました。
「ありそう」に妥協した瞬間、メディアとしての価値は一段落ちる。
そこに対しては、しんどくても譲らないようにしました。
旬を取り入れる

もう一つは、季節の食材を納豆と組み合わせていくことです。
春には春のもの、夏には夏のもの。旬は、食べたくなる季節そのもので、日本の食文化として暮らしに根付いている感覚でもあります。
納豆という常備食材に、旬を重ねる。
すると、繰り返しの中に動きが生まれて、「あ、もうこの季節か」という時間の感覚も、食卓の楽しみとして一緒に届けられる。
軸は変えない。でも、乗せるレシピは、季節とともに動き続ける。

[図1:揺らがない軸/毎回新しい発見、2軸の重なりで「次も見たい」が生まれる]
実際、旬の食材を取り入れた投稿は、閲覧数も、いいねの数も、保存数も、目に見えて伸びるケースが増えました。コメントも、ふだんより入りやすくなる。
数字を狙って旬を入れたわけではなくて、軸を守ったうえで季節を一緒に届けたら、結果として返ってきたという順番です。
フォロワーさんも、季節を待っていたんだと思います。
この組み合わせ方が、「次も見たい」を支えていたと思っています。
「次が楽しみ」という声が育っていた
DMで実際に届いていた声を、少し並べてみます。

投稿の雰囲気が素敵だなと思って
混ぜない納豆?キニナル
料理の写真撮るのが好きで、参考にしたい
特定の投稿への反応だけではなく、このアカウントが次に何を出すかを待ってくれている声が、はっきりとありました。
そして結果として、立ち上げから10,000人を超えるフォロワーが集まっています。
ただ、大事にしたいのは数字そのものではなく、その数字の裏にあった「次が楽しみ」という気持ちの方です。
SNSの本質は、ブランドの本質と同じ
フォロワーさんが増えていくスピードよりも、一人ひとりが次を待ってくれる温度の方が、結局は長く残るんじゃないか——たかちほ正史発酵蔵の立ち上げで、そう実感していました。
これはSNSのテクニックの話ではなくて、お客さんがそのブランドの次を楽しみにしてくれている状態を作り続ける、というブランドそのものの基本だと、僕は思っています。
軸を揺らさず、でも毎回新しい発見を乗せ続ける。
その繰り返しが、フォロワーさんとの間に「またあの人たちか」という静かな期待を育てていく。
たかちほ正史発酵蔵の立ち上げで一番大事にしていたのは、結局そこでした。
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※本記事は、許諾を得た範囲で工程の考え方を記録しています。
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