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ロゴの「囲い」をどう作ったか(ロゴ分解その2) 

たかちほ正史発酵蔵

2026/4/28

前回(ロゴ分解その1)は、マークの中の「た」一文字の話を書きました。今回はその続きで、その「た」を包んでいる外側の囲いの話です。

囲いは、文字に比べると地味な要素です。でも、囲いの形をどう取るかで、ロゴ全体の印象がかなり変わる、というのが組んでみての実感でした。

[図1:囲いと「た」が組み合わさったマーク]

1|納豆の一粒を、そのまま囲いにした

囲いの形は、結果として、納豆の一粒のかたちになりました。

たかちほ正史発酵蔵の納豆は、大粒でふくよかな大豆を使っています。旨みや甘みがしっかり詰まっていて、僕らが「いま、これ以上のものはない」と断言できるくらいの大豆です。一粒入魂で作っているから、混ぜずに、粒のままで味わってほしい。

その思いを、そのまま囲いの形にしました。

先に作ったのは、この納豆一粒のかたちです。そのあと、念のため四角なども含めていくつか組んでみました。でも、最初に作ったこの形が、やっぱり断然よかった。

円だと整いすぎて、発酵蔵の手仕事の温度が消える。 四角だと角印っぽくなって、いかにも蔵元の見た目に寄りすぎる。 納豆一粒のかたちは、その間に、すっと収まりました。

ロゴ編まとめ(ロゴ編まとめ)に書いた「混ぜない、粒の旨み」を、囲いの輪郭にもそのまま入れた結果でもあります。粒同士がもたれかからず、一粒一粒の表情が立っている。その感じを、文字の周りの線にも残しました。

2|和の見た目は、にじむ程度に残す

たかちほ正史発酵蔵は霧島の蔵元です。蔵元のロゴをふつうに作ろうとすると、印鑑のような朱の角印や、墨で書いた風のラベルになりがちです。いかにも「和の老舗」という見た目です。

でも、ここはちょっと考えました。

たかちほ正史発酵蔵は、混ぜずに粒のまま味わう「新しい納豆体験」を提案するブランドです。300円で気軽に手に取れて、毎朝の食卓にふつうに出てくる、そんな納豆を届けたい。

蔵の歴史は背景にあるけれど、入口は「新しい体験」と「日常」のはずでした。

そこで「いかにも老舗の蔵元」という見た目にしてしまうと、新しい納豆体験というコンセプトと、見た目がちぐはぐになってしまう。日常の食卓からも、少し遠ざかる。

かといって、和の感じをまったくなくしてしまうと、こんどは蔵の温度が消える。

だから選んだのは、和の感じはにじむ程度に残して、形そのものは現代寄りにする、という作り方でした。

具体的には、

  • 印鑑や落款の四角い角印は使わず、納豆の一粒を上から見たような、横にゆるく膨らんだ角丸の形で囲った

  • 朱の塗り(印影)は入れず、黒の輪郭線だけにした

  • 印鑑のにじみやかすれといったアナログ感は出さず、線はソリッドに。ただし均一にはせず、線の強弱で人のあたたかみを残した

これで、和の温度はちょっとだけ残しながら、いかにも和、にはならない形になりました。

囲いの中に「た」が入っているとき、見る人は最初、和を感じる。でも数秒見ているうちに、それが昔のものではなくて、いまの食卓に置かれている顔だと気づく。そういう順番で受け取ってもらえたらいいな、と思っていました。

3|やわらかさを残しつつ、存在感も残す

形が決まったら、次は線の太さと、文字との余白です。

囲いの線の太さは、ぱっと最初に目に入るところなので、ここはけっこう大事でした。

太くすると、存在感は強まって目立つようになります。でも、やわらかさや、和菓子屋さんのような静かさが消えて、中の「た」の文字の空気感まで消えてしまう。

かといって細くすると、こんどは囲いの存在感がなくなって、ロゴが目に入りにくくなる。

選んだのは、文字よりほんの少し細めの線でした。文字の「た」を主役にしつつ、囲いはそれを支える側にする。並べたときに、囲いが一段引いている。でも、消えてはいない。

囲いと文字のあいだの余白も、けっこう触りました。詰めすぎると、文字の空気感が消える。開けすぎると、文字が小さくなって、「た」のイメージが弱くなる。

最終的には、いまのスペースで落ち着きました。文字が囲いの中で、すこし息ができる距離です。

このあたりは、前回の記事でも書いたとおり、囲い単体・文字単体で決めるのではなく、両方を並べて見比べながら決めていきました。

まとめ|次は、屋号の文字組みの話へ

囲いは、ロゴの中で一見「外枠」にしか見えません。

でも実際には、

  • 円か四角か、それともゆらぎのある形か(蔵の温度)

  • 和の文脈をどこまで出すか(入口の広さ)

  • 線の太さと、文字との余白(主役と脇役の関係)

この3つで、ロゴ全体の印象がけっこう動きます。

たかちほ正史発酵蔵の囲いは、目立つために作ったわけではありません。文字「た」の入口としての機能を支えるため、そして、蔵の温度を残しつつ日常の顔にするために、形と太さを少しずつ寄せていきました。

ぱっと見では気づかれない部分かもしれませんが、ぱっと見の印象を作っているのは、こういう静かな部分の積み重ねだと思っています。

次の記事(ロゴ分解その3)では、マークではなく、屋号「たかちほ正史発酵蔵」の側を、なぜ縦3行で組んだのかについて書こうと思っています。


次に読む

  • ロゴの「文字組み」をつくる(ロゴ分解その3)

    縦3行の屋号は、なぜこの形に落ち着いたのか。

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  • ロゴの「マーク」を考える(ロゴ分解その1)

    入口としての「た」をどう設計したか。

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  • ロゴ編まとめ|判断軸3つ

    ロゴ全体をどういう判断軸で決めたのか、上から見た一本にまとめています。

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※本記事は許諾を得た範囲で、工程の考え方を記録しています。

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