ネーミング

プロトタイプ

なぜブランド名を変えたのか

たかちほ正史発酵蔵

2026/2/26

──たかちほ正史発酵蔵|工程ノート

高千穂工場から、たかちほ正史発酵蔵へ。

今回の立ち上げの中でも、名前をどうするかはかなり大きなテーマでした。

三代目と話を重ねていくうちに、この現場でやっていることの素晴らしさが、名前の段階で少し弱く見えてしまっていないか。

そんな違和感を、お互いに感じ始めたんです。

「高千穂工場」という名前が悪いわけではない。むしろ、良さがある名前だと思っていました。

でも、現場で行われていることと、その名前から受ける印象のあいだに、どうしてもズレがある。

たかちほ正史発酵蔵のブランドネーミングは、そこから始まりました。

「高千穂工場」には、もともと良さがあった

高千穂という地名が入る。
それだけで、背景にある自然が想像できる。
霧島の麓、恵まれた環境、きれいな水。
「この土地でつくられているんだ」という空気が、名前に乗る。

ここは、最初から残したい強さでした。

でも、「工場」という言葉に少しズレを感じた

違和感があったのは、「工場」という言葉でした。

現場で行われているのは、三代にわたって受け継がれてきた手仕事で、発酵を見極め、味をつくっていく仕事です。

手間も時間も、判断も、全部“人”がやっている。

でも「工場」という言葉が入ると、どうしても大量生産や裏方の印象が先に立ちやすい。人の顔や手の温度が、少し伝わりにくくなる。

このブランドの空気が、売り場に出る前に薄まってしまう気がしました。

やっていることは、素晴らしいもの。でも、その“素晴らしさ”が名前の段階で少し弱く見えてしまう。

僕たちが感じた違和感は、そこでした。

やりたかったのは、元々ある良さがそのまま届く名前にすること

今回やりたかったのは、飾ることではありません。価値を盛ることでもありません。
もともとある良さが、そのまま届く名前です。

「工場」ではなく、発酵という文化や技術の積み重ねが、もう少し自然に伝わる言葉が必要でした。

名前は、ロゴや売り場の中で一緒に見て決めていった

今回のネーミングは、言葉だけを切り出して決めたわけではありません。
候補名とロゴ案を並べて、

  • ECのヘッダー

  • パッケージ

  • のれん

  • 店頭の売り場イメージ

そういう全体の中で見ていきました。

名前だけ良くても弱い。
ロゴだけ良くても弱い。

大事なのは、全体の中でちゃんと成立しているかどうかです。

今回も「名前単体でいい」ではなく、「この世界観の中でしっくりくるか」を基準にしていきました。

候補をたくさん出したからこそ、絞れた

候補は、いろいろ出しました。

  • 高千穂マサフミ発酵蔵

  • 高千穂発酵所

  • たかちほ発酵所

  • タカチホマサフミ

  • 高千穂マサフミ堂

  • たかちほつぶや

そして「工場の代わりに何と言うか」もかなり検討しました。

  • 発酵所

  • 納豆蔵

  • 本舗

候補を出すこと自体が目的ではありません。今回も、“これは違う”を見つけるために出していった感覚に近いです。

世界観が合わない。
少し普通すぎる。
逆に日常から遠くなる。

そういう違和感をひとつずつ外していくことで、だんだん方向が見えてきました。

「たかちほ正史発酵蔵」に込めたこと

最終的に決まったのが、たかちほ正史発酵蔵 です。
この名前では、土地・人・技を、できるだけまっすぐ名乗れる形にしたいと思いました。

たかちほ(ひらがな)

「高千穂」は残す。これは最初から決めていました。この土地の空気や自然の背景は、ブランドの強さになるからです。

ただ、表記はかなり検討しました。

漢字の「高千穂」にするのか、ひらがなの「たかちほ」にするのか。
人名の「正史」をどう組み合わせるのか。

そのあたりは、名前だけで決めたわけではなく、ロゴ案と一緒に見ながら考えていきました。

実際には、漢字の「高」をモチーフにした案もありました。それはそれで良さがあったし、意味も込めやすかった。

でも、少し硬く見えるところもあった。

今回、このブランドで大事にしたかったのは、重みや立派さだけではなく、

「なんかいいな」
「ちょっと気になるな」
「食べてみたいな」

と自然に心が動く入口でした。

その意味で、ひらがなの「た」の方に、クライアントさんも含めて、みんなの気持ちがいちばん素直に動いた。最終的には、「もうこれだよね」という形で、ひらがなの「た」に決まっていきました。

それなら、入口になるマークも「た」、名前の表記も「たかちほ」に揃えた方が自然です。

そうして最終的に、ひらがなの「たかちほ」+漢字の「正史」+漢字の「発酵蔵」という形に落ち着いていきました。

長い屋号でも、ひらがなと「た」のマークで入口をつくる。
覚えにくさは、そこで補う設計です。

正史(人名)

このブランドは、人がつくってきたものです。
初代、先代、三代目。受け継がれてきた技術と意思がある。

だから、人の名前を入れたいという思いがありました。

同時に、「高千穂」だけだと地名なので、少し広い。
実際に使われている場面も多い。
だから、もう一歩このブランド固有の名前にしたい。

その意味でも、三代目の名前をそのまま入れるのがいちばん自然だと思いました。

そうして、「正史」が入っていきました。

人の名前を入れることで、
顔が見える。
責任も見える。
そして、このブランドが誰によって受け継がれているのかも伝わる。

その意味で、「正史」はかなり大きな要素でした。

さらに、ECでは三代目自身が発信したり、お客さんと直接やり取りしていくことも考えていました。そういうコミュニケーションまで含めて見ると、ブランド名の中に人の名前がちゃんと出ていることは、より意味があると思ったんです。

発酵蔵

「発酵所」「納豆蔵」「堂」など、いろいろ検討しました。
でも最後に残ったのは、“蔵”の空気でした。

蔵には、手間と時間がある。
積み重ねがある。
静かな自信がある。

このブランドがやっていることに、いちばん近いと感じました。

工場を外した理由

理由は明確です。
「工場」という言葉だと、この現場の温度や手仕事の空気が少し伝わりにくい。

伝えたかったのは、手仕事の温度と、発酵を見極める技術、そして積み重ねでした。

長い名前でも、そのまま成立させたかった

正直、長い名前だと思います。
覚えやすい名前とも言いにくいかもしれません。

だからこそ、

  • ひらがなの「たかちほ」

  • 入口になる「た」のマーク

で、覚えやすさの入口をつくりました。

「短くする」より、この長さのまま空気を残して、使える形にする。その方が、このブランドには合うと思いました。

結果として、名前そのものがブランドの入口になった

「たかちほ正史発酵蔵」は、単なる名称変更ではありません。

この仕事に込める想いや誇り、責任を、これからもちゃんと発信していくための名前になりました。

商品だけでなく、その背景にある人と土地と技術まで含めて届いていく。
その入口になる屋号として、この名前に落ち着きました。

まとめ

なぜ屋号を変えたのか

  • 「高千穂」 は、この土地の空気や背景が伝わる強さとして残したかった

  • 「工場」 では、現場にある手仕事の温度が少し伝わりにくかった

  • 「発酵蔵」 という言葉で、時間をかけて育てる価値をまっすぐ名乗りたかった

  • 「正史」 を入れることで、誰が受け継ぎ、誰がお客さんと向き合っていくのかが見える名前にしたかった

  • その結果、商品だけでなく、人・土地・技術まで含めて届く入口 になった

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※本記事は許諾を得た範囲で、工程の考え方を記録しています。

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