
ブランディング
広告
コンセプト
SNS / コンテンツ
体験設計
「混ぜない納豆」は、どう“買われる形”になったか
たかちほ正史発酵蔵
2026/2/26
良いものを作っただけでは、買われる形にはなりません。
たかちほ正史発酵蔵の立ち上げでも、大事だったのはそこでした。
納豆そのものが、本当に素晴らしい。
実際に食べて、「こんなに美味しい納豆があるんだ」と驚きました。
そこに至るまでの考え方や背景も聞いて、これはちゃんと届けば強いと素直に思いました。
ただ、良いものほど普通に埋もれます。
だから今回は、どうすればこの良さが“買われる形”になるのか を一緒に考えていきました。
良さを足すというより、
もともとある良さが伝わる形に整えていった。
この記事は、その記録です。
最初の入口になったのは、「混ぜない」という体験だった

結果として、たかちほ正史発酵蔵の納豆の最大の入口になったのは、
「混ぜない納豆」という新しい体験でした。
三代目はInstagramのフォロワーさんとDMなどで話す機会があるのですが、
「混ぜない」という言葉に興味を持ってフォローした、という方がかなり多いとのこと。
そして、その体験を日常の中に落としていくものとして機能していたのが、レシピでした。
粒を楽しむからこそ成立する組み合わせ。
「納豆でこんなことができるんだ」という驚きが、そのままフォローや購入のきっかけになっていきました。
もちろん、贈り物としての文脈も強いです。
でも、最初の入口として一番効いたのは、やはり混ぜない体験だったと思います。
大きく変えたのは、コンセプトと体験の見せ方だった

今回、大きく変えたのは主に2つです。
コンセプトと、その体験の見せ方でした。
まずコンセプトは、「混ぜない納豆」に振り切りました。
きっかけは、三代目の言葉です。
当店の納豆の特徴は、混ぜなくても美味しいです。
納豆はかき混ぜてなんぼ、みたいな風潮がありますが、当店の納豆にはそれは当てはまりません。
混ぜなくても美味しく食べられるように作っているからです。
混ぜても美味しいし、混ぜなくても美味しい。
納豆をもっと自由に食べてほしくて、そんな美味しさを目指して作ってきました。

さらに話を深掘ると、三代目が味を見るときは、混ぜずにそのまま食べる、という話も出てきました。
僕自身も実際に食べてみて、混ぜない方が大豆の甘みや旨みを感じると思いました。
そこで三代目と決めたのは、
「混ぜなくても美味しい」と説明するのではなく、
最初のポジションとして“混ぜない”を立てることでした。
それが「混ぜない納豆」というコンセプトです。
体験と見え方も、大きく変えた

撮影やビジュアルで最初にやったのは、ただきれいに撮ることではありませんでした。
まず、「混ぜない」という体験そのものを整えること。
そのうえで、それがちゃんと伝わる見え方を作っていきました。
普通の納豆の写真は、どうしてもぐるぐる混ぜた状態になりやすい。でも、それでは“混ぜない”が伝わらない。
だから今回は、まず食べ方の型を作りました。
ご飯の上に粒をのせる
その上に薬味をのせる
上からタレをかける
そして噛む
この“混ぜない”の型が体験として成立することを確認したうえで、それを写真としてどう見せるかを考えていったんです。

そのまま、粒だから成立するレシピ提案へつなげる。
写真とレシピで、体験をまるごと伝える。
ここが大きな転換点でした。
売り場では、まず一発で体験を言い切る

主戦場は、自社ECでした。
だからファーストビューでは、まずどんな体験なのか?を一瞬で伝えることを優先しました。
たとえば、
混ぜない納豆 たんねん.
ご飯にのせて噛むだけ
1分で旅館のような朝
霧島の麓で仕込む 完熟発酵の丹念
商品の説明を増やすより、
「これは何なのか」「どんな体験なのか」 がすぐ伝わること。
まずそこを徹底しました。
そのうえで、リターゲティングでは少し角度を変えて、
なぜこの納豆は混ぜないのか?
混ぜない納豆 たんねん.の話
納豆は、粘ればそれでいいのか?
のように、続きを知りたくなる問いを置いていきました。
最初に興味で引き留め、そのあとで少しづつ理解を深めていく。
そういう順番で組み立てていきました。
SNSでは、“混ぜない体験”を日常に落としていった

SNSでやったことは、コンセプトの言い換えではありません。
混ぜない納豆で、日常に新しい納豆体験を増やしていくことでした。
たとえば、
今まで見たことのない食材の組み合わせ
粒の旨みやコクを、そのまま味わえるレシピ
見ただけで試してみたくなる見せ方
日常の食材で、無理なくできるのに、少し気分が上がる提案
そういうものを、少しずつ積み重ねていきました。
納豆だけを扱うアカウントは世の中にあります。
でも、「粒を味わう体験」をここまで前面に出して、意外性と美しさを一緒に見せていく形は、あまり多くないと思います。
だからこそ、まず興味を持ってもらえているし「ちょっとやってみたい」が共感につながって、フォローや購入のきっかけにもなっていきました。
フォロワーは、立ち上げ時の0から現在10,000まで伸びています。(2026.3.17現在)
広告も、“よくある型”に戻さなかった

ここは分断しやすいところです。
せっかく唯一無二の強みがあっても、売る段階で“よくある広告”に寄ってしまうと、一気に横並びに見えてしまう。
だから広告も、体験の温度を壊さない言葉と見え方で組み立てました。
たとえば、
なぜこの納豆は混ぜないのか
まずは混ぜずに粒をゆっくり噛んでみてください
粘ればそれでいいのか
混ぜてないのに、この糸。旨味は混ぜる前に完熟。

写真でも同じです。
混ぜていないのに糸が立つ。
ご飯の上に粒をのせて、タレを上から落とす。
“混ぜない”が成立する瞬間を、そのまま見せる。
広告でも、コンセプトを壊さない。
これはかなり大事にしたところでした。
結果として、買われる形に近づいていった

結果として、オープンから5ヶ月で売上は7倍。
Instagramも、0から10,000まで伸びています。
もちろん要因はひとつではありません。
でも少なくとも、このプロジェクトで強く実感したのは、コンセプトを作っただけでは足りない ということでした。
その体験が、売り場でも、発信でも、広告でも、ちゃんと同じ温度で伝わる。
そこまで揃ってはじめて、埋もれにくくなる。
今回は、そのことをかなりはっきり感じた案件でした。
まとめ

「混ぜない納豆」は、言葉を飾ってつくったものではありません。
もともとそこにあった素晴らしさを、体験として、一瞬で伝わる形に整えていった。
その結果として、買われる形になっていきました。
次は、この体験をどう更新していくか。
その記録も、また少しずつ残していきます。
次に読む
混ぜない納豆:コンセプトが生まれた背景
「混ぜない」が、どうやって核になったのか。
写真編|混ぜない体験を写すルール
体験をどう写真で伝えたか。
ECファーストビュー:混ぜない体験を一瞬で言い切る
最初の一画面で、何をどう伝えたのか。
→ 読む(現在執筆中)
※本記事は、許諾を得た範囲で工程の考え方を記録しています。
ブログ一覧へ戻る

